Affinity 試してみた

「いつの間にやらCanvaの傘下に入って、無料化された」と話題のAffinity。Affinityは、何年か前から「AdobeのPhotoshop / Illustrator / InDesignに匹敵するソフトだけど、かなり格安の買い切りで使える」ということで話題になっていました。Adobeは、Creative Cloudという形で、かなりお高いサブスクリプションなので、個人で使うにはなかなか辛いものがあります。

そんなAffinityが無料化されたということで、DTPにも関わる業界にいる身として、どの程度使えるものなのかな?ということで試してみました。ただ、私自身は絵が描けないので、「絵を描く」という面での評価はまともにできていません。

結論から言うと、こんな感じです。

  • 動作はめちゃくちゃ軽快
  • 日本語組版には、圧倒的に機能が不足している
  • これだけのソフトが無料で使えるというのはかなりすごいこと

動作

普段、Illustratorの起動がめちゃくちゃ重たくて、Adobeさんなんとかしてよと思っている身としては、この起動の軽さはすごいと思います。ノートPCですが、10秒程度で起動します。

あと、おもしろいのが、一つのドキュメントでベクター (Illustrator) / ピクセル (Photoshop) / レイアウト (InDesign)と、すべての処理・操作が完結すること。Adobeでは、写真はPhotoshopで加工し、図版はIllustratorで作成、それらと文字をInDesignでレイアウトと、分割して処理していたものが、一つのアプリ・ドキュメントで完結します。UI上で切り替えるだけで、ツールバーやパネル類が処理に応じたものに変わりますので、意外と違和感なく使えます。


印刷物向けデータ作成

印刷物向けのデータを作ろうとする場合、カラーモードは光の三原色のRGBではなく、印刷機のインキと同じく、色の三原色+黒のCMYKで作るのが一般的です。WordやPowerPointなどの多くのアプリはCMYKを扱うことができませんが、さすがにAffinityはちゃんとCMYKが扱えます。また、カラープロファイルも日本で一般的に使われている「Japan Color 2001 Coated」が入っていますので、印刷物用のデータ作成にも十分耐えるんじゃないでしょうか。(実際に、製版・印刷したわけじゃないのでたぶんですが)


また、スウォッチでスポットカラー(特色)も作成できるようです。


文字組み(日本語)

日本語組版に関する機能は、壊滅的といっていいレベルです。日本語の文字を問題なく表示できるだけという感じです。

  • 縦書き不可
  • ルビ不可
  • 禁則処理の設定が変えられない
  • 文字サイズの単位として「級(Q)」が指定できない

これを見ると、InDesignの「文字組みアキ量設定」はすごいなあと。(設定が複雑だけど)

PDF書き出し

デフォルトでPDF/X-4の設定も入っていました。ただ、なぜか、「裁ち落としを含める」がOffになっているので、Onにしてやる必要があります。

Xなどでは、「日本風トンボが出せないからどうのこうの」と書かれていますが、いまどき目に見えるトンボなんて飾りです。というか、アートボードにトンボを入れたら、メディアサイズがおかしくなるのでやってはいけないと…。

総論

まあ、InDesignやIllustratorの替わりにはならないものの、Creative Cloudが無い環境で、チラシやパンフレットみたいなものを作りたい場合には、なかなかいいんじゃないかとは思いました。すくなくともWordやPowerpointよりは、ちゃんとした印刷物用のデータが作れると思います。

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